Unknown...4u
" あんまり言いたくないけど、愚痴ザンス。複数の知人から『東京都青少年の健全な育成に関する条例』(以 下、青少年条例)の改正に関して質問を受けたのだが、案の定というか全員が条例の本文を全く読んでいない。ぐったりする。

 初心者向け反対活動の方法(簡易版)にも書いたが、法案 に反対するのであれば、その前段階としてとにかく法律、あるいは条例の本文は読まねばならない。ところが、古株の規制反対派でも割とこれをやっていない場 合が多い。

 もう、何度も何度も同じ目に遭ってきたし、慣れっこになっているはずなのだが、読まないで「楽して活動しよう」という人を見 ると「反対活動をしてくれるのは有り難いけど、別の場所でやってくれ」という気持ちにさせられる。ここの閲覧者数をいたずらに増やしたくないのは、この手 のケースを何度も何度も見ているうちに「やっぱ、マンガとかアニメばっかり見ていると馬鹿になるんじゃ……」と根拠のないネガティブな妄想に囚われるから だ。

 青少年条例のポイントは幾つかあるが、不健全図書に絞って述べれば、次のようになる。
まず、

(不健全な図 書類等の指定)
第八条 知事は、次に掲げるものを青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる。
一 販売され、若しくは 頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著 しく自殺若しくは犯罪を誘発するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの

2  前項の指定は、指定するものの名称、指定の理由その他必要な事項を告示することによつてこれを行わなければならない。
3 知事は、前二項の規定 により指定したときは、直ちに関係者にこの旨を周知しなければならない。
(平一三条例三〇・平一六条例四三・一部改正)

 があ る。この第八条で不健全であるという指定を受けると、

(指定図書類の販売等の制限)
第九条 図書類の販売又は貸付けを業とする者 及びその代理人、使用人その他の従業者並びに営業に関して図書類を頒布する者及びその代理人、使用人その他の従業者(以下「図書類販売業者等」という。) は、前条第一項第一号の規定により知事が指定した図書類(以下「指定図書類」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けてはならない。
2  図書類の販売又は貸付けを業とする者及び営業に関して図書類を頒布する者は、指定図書類を陳列するとき(自動販売機等により図書類を販売し、又は貸し付 ける場合を除く。以下この条において同じ。)は、青少年が閲覧できないように東京都規則で定める方法により包装しなければならない。
3 図書類販 売業者等は、指定図書類を陳列するときは、東京都規則で定めるところにより当該指定図書類を他の図書類と明確に区分し、営業の場所の容易に監視することの できる場所に置かなければならない。
4 何人も、青少年に指定図書類を閲覧させ、又は観覧させないように努めなければならない。
(平四条 例一九・平一三条例三〇・平一六条例四三・一部改正)

(表示図書類に関する勧告)
第九条の三 知事は、指定図書類のうち定期的に 刊行されるものについて、当該指定の日以後直近の時期に発行されるものから表示図書類とするように自主規制団体又は図書類発行業者に勧告することができ る。
2 知事は、表示図書類について、前条第二項から第四項までの規定が遵守されていないと認めるときは、図書類販売業者等又は図書類発行業者に 対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

 という形で販売制限を受ける。また、不健全指定を受けなくとも、

(図 書類等の販売等及び興行の自主規制)
第七条 図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催する者及び興行場(興行場法(昭和二十 三年法律第百三十七号)第一条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は、図書類又は映画等の内容が、青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長 し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは、相互に協力し、緊密な連絡の下に、当該図書類又は映画等を 青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は観覧させないように努めなければならない。
(平四条例一九・平一三条例三〇・一部改正)

で 自主規制された表現物に関しては、

(表示図書類の販売等の制限)
第九条の二 図書類の発行を業とする者(以下「図書類発行業者」 という。)は、図書類の発行、販売若しくは貸付けを業とする者により構成する団体で倫理綱領等により自主規制を行うもの(以下「自主規制団体」という。) 又は自らが、第八条第一項第一号の東京都規則で定める基準に照らし、青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青 少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認める内容の図書類に、青少年が閲覧し、又は観覧することが適当でない旨の表示をするように努めなければならな い。
2 図書類販売業者等は、前項に定める表示をした図書類(指定図書類を除く。以下「表示図書類」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸 し付けないように努めなければならない。
3 図書類発行業者は、表示図書類について、青少年が閲覧できないように東京都規則で定める方法により包 装するように努めなければならない。
4 図書類販売業者等は、表示図書類を陳列するとき(自動販売機等により図書類を販売し、又は貸し付ける場合 を除く。)は、東京都規則で定めるところにより当該表示図書類を他の図書類と明確に区分し、営業の場所の容易に監視することのできる場所に置くように努め なければならない。
5 何人も、青少年に表示図書類を閲覧させ、又は観覧させないように努めなければならない。

 という指定され た図書類と同様の制限が付く。

 問題は前述の第八条に裏があることで、これが、

(審議会への諮問)
第十八条の二  知事は、第五条の規定による推奨をし、第八条の規定による指定をし、又は第十四条の規定による措置を命じようとするときは、第十九条に規定する東京都青 少年健全育成審議会の意見を聴かなければならない。
2 知事は、前項の規定により、東京都青少年健全育成審議会の意見を聴くときは、第七条から第 七条の三までに規定する自主規制を行つている団体があるときは、必要に応じ、当該団体の意見を聴かなければならない。

 だ。つまり、東京 都知事は単独で勝手に不健全図書を指定することはできず、『東京都青少年健全育成審議会』の意見を聞かなければならない。

 この『東京都 青少年健全育成審議会』がどのように構成されるのかを定めているのが、

(設置)
第十九条 第十八条の二第一項の規定に基づく知事 の諮問に応じ、調査し、審議するため、東京都青少年健全育成審議会(以下「審議会」という。)を置く。
(平一六条例四三・一部改正)
(組 織)
第二十条 審議会は、次の各号に掲げる者につき、知事が任命または委嘱する委員二十人以内をもつて組織する。
一 業界に関係を有する 者 三人以内
二 青少年の保護者 三人以内
三 学識経験を有する者 八人以内
四 関係行政機関の職員 三人以内
五 東京 都の職員 三人以内
2 専門の事項を調査するため必要があるときは、審議会に専門委員を置くことができる。
(平一三条例三〇・一部改正)

  である。問題なのは、この審議会の任命と人員構成だ。東京都知事は、ほとんどの場合、審議会の委員を直接任命していない。また、仮に任命したとしても、第 二十条に沿った任命をせざるを得ない。

 これがどんな意味を持つかというと、

(定足数及び表決数)
第二十四条  審議会は、委員の半数以上の出席がなければ、会議を開くことができない。
2 審議会の議事は、出席した委員(会長である委員(第二十二条第三項の 規定により会長の職務を代理する委員を含む。)を除く。)の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
(平四条例一九・一部改 正)

 で分かってくる。つまり、審議会に出席した過半数の委員が「不健全図書」だと認めれば、その作品の内容がどうであろうが必ず不健全 図書に指定されるのだ。

 このことをふまえた上で、もう一度、第二十条を見てみよう。

(組織)
第二十条 審議会 は、次の各号に掲げる者につき、知事が任命または委嘱する委員二十人以内をもつて組織する。
一 業界に関係を有する者 三人以内
二 青少 年の保護者 三人以内
三 学識経験を有する者 八人以内
四 関係行政機関の職員 三人以内
五 東京都の職員 三人以内
2  専門の事項を調査するため必要があるときは、審議会に専門委員を置くことができる。

 専門委員をのぞいて、審議会の通常メンバーの最大 数は二十名。そのうち、

二 青少年の保護者 三人以内
四 関係行政機関の職員 三人以内
五 東京都の職員 三人以内

  は、ほぼ100%の確率で不健全図書指定に賛成する。だから、仮に条例で定められた最大の20名で審議会を行った場合、最初から9名は不健全図書に賛成す ることがあらかじめ決まっている。

 じゃあ、残りの11名が反対すれば不健全図書指定は受けずに済むだろうと思われるかもしれないが、

三  学識経験を有する者 八人以内

 を具体的に見ていくと、考え方が変わるはずだ。今期(第23期)の審議会の委員名簿
では、上 記に定められた学識経験者八名の半数が、実は東京都議会に所属する議員であることが分かる。そのうち、

早坂義弘(自民党)
小磯義 彦(公明党)

 の2名は与党なので、よほどのことがない限り不健全図書指定に反対することはない。
 これで、

9+2=11

  になる。

 更に、

児玉平生(毎日新聞社論説委員)
保高芳明(読売新聞東京本社論説委員)

 の2 名は大手新聞社の論説委員であり、彼らは警察情報をもらって新聞記事を書いている事情から、必ず不健全図書指定には賛成する。

 余談にな るが、この名簿を見れば、毎日新聞と読売新聞が規制派に有利な記事を書く事は容易に予想ができる。同時に、新聞社に表現の自由という概念はなく、官僚と結 託して新聞記事(大概はデマ)を書き散らす方が大事という事情も理解できるはずだ。

 話を元に戻そう。新聞社の論説委員が賛成票を投じる と、

11+2=13

 となるから、審議会が最大20名で行われた場合、必ず過半数が不健全図書指定に賛成する仕組みに なっているわけだ。要するに、これはほぼ100%の確率で有罪にできるシステムなのだ。そして、不健全図書の選択は、通常は担当職員に任されているから、 職員が選んできた「不健全図書候補」は、やっぱりほぼ100%の確率で不健全図書に指定される。

 私が表現物の内容に一切触れていないの は、以上の理由による。職員が選んできた表現物=不健全図書なんだから、内容についてあれこれ考えても全く意味がないのだ。こんな制度が、よく民主主義の 中で維持されてきたもんだと呆れるしかないが、もっと呆れるのはこの制度についての知識が無いくせに、表現物の内容に関して「最近のマンガは性表現がきつ い云々」とか「表現の善し悪しは主観で決まる」とか、アレコレ言ってるオタクがいることで、こういうのを見ると、やはり「マンガとかアニメばっかり見てい ると馬鹿になるんだな」と思わざるを得ない。不健全図書指定は主観じゃなくて条例で決まるんだよ。わかんないかな?

 そういう次第で、具 体的に名指しはしないけど、ちゃんとですね、条例は読んで欲しいし、審議会委員の名簿ぐらいは目を通して欲しいワケですよ。頼みますよ。"
Thursday 4/15/2010

(23 notes)

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